白銀の女神 紅の王
妙に胸がざわつくのを無視して口を開く。
「もう…大丈夫だ」
口から出たのはエレナを労る言葉。
落ち着かせるためにエレナの小さな背を撫で、肩の力が抜けたところで再び距離を取った。
「落ち着いたか?」
そう問えば、ぎこちなくコクンと頷くエレナ。
体の震えも先程に比べればおさまっている。
向かい側にいるウィルとニーナもほっと一安心したようだ。
「ニーナ、エレナの傷の手当てを頼む。ウィルは俺と来い」
「「はい!」」
二人は同時に返事をし、テキパキと動き始める。
自分の体に回ったエレナの腕が緩まったのを見計らい、自らも動き始める。
あの男……
エレナの名を知っていた。
調べる必要があるな。
そう考えながらエレナをニーナに任せ、後宮を後にする。
ニーナに引き渡したエレナの小さな呟きに気付くことなく―――