白銀の女神 紅の王
普段の静けさを取り戻した後宮。
シュル――――
シュル……
包帯を巻く音だけが後宮に響いていた。
「エレナ様、他にお怪我をなさっているところはございませんか?」
一通り手当てを終えたニーナが心配そうに問う。
「ないわ…首だけよ」
そう言ってニーナが手当てしてくれた首に触れる。
傷の割にこの包帯の巻き方は大袈裟すぎやしないだろうか…
何重にも包帯を巻かれた私の首はさぞ痛々しく映っている事だろう。
ニーナや周りにいる侍女たち、そしてシルバによって後宮に残された護衛の者までもが眉を寄せた表情をしていたから。
「大事に至らなくて良かったです。首の傷もあまり深くなかったようですし」
そう…私の首の傷は深くはなかった。
それもそのはず。
ニーナは大事に至らなくて良かった…というが、私が命の危険にさらされる可能性は低かったのだ。