白銀の女神 紅の王
ぅ…っと、小さく呻き手を上げて後ずさるウォルター。
剣の切っ先からはウォルターの血が一筋流れている。
この人…本気なんだわ……
僅かと言っても人が傷つけられている光景を見て驚愕する。
そして、その傷つけた本人がこちらに近づいてきても一歩も動けなかった。
「立て」
目の前に来た男は一言そう言う。
立て…と言われても腰が抜けて足に力が入らない。
なかなか立とうとしない私にチッと言う悪態を聞いたかと思えば、腕を取られ、ふわりと自分の体が浮くのを感じた。
男の手によって無理やり立たされ、目の前に立つこととなる。
間近で見た男は最初に抱いた印象と変わらない。