白銀の女神 紅の王
スラリと高い身長に端正な顔立ち。
綺麗にはめ込まれたまるでルビーのような紅い瞳は切れ長で、吸い込まれそうな程に綺麗だった。
その瞳に魅入られていると……
「お前名は何という」
男から問われる。
「エレナ…です」
目を逸らしながら答える。
エレナという自分の名前を名乗った後、続いてファミリーネームを口にしそうになったが、止めた。
もう公爵令嬢だった頃のマルベルの姓はとうに失ったから…
「気に入らないな。なぜこちらを向かない?」
目を合わせればこの瞳を見せる事になる。
「それにそのベール。まるで何かを隠しているようだが…」
このベールを剥げばこの姿が露わになる。
「ベールを取れ、エレナ」
スッと、男の目が細まる。
名前を呼ばれたことに僅かに動揺するが、これだけは絶対に見せてはいけない。
死刑宣告とも言えるその言葉を聞きながらギュッとベールを持つ手に力が入った。