白銀の女神 紅の王
バンッ――――
後宮の扉を荒々しく開く。
そして、扉の前にへなへなと座り込んだ。
「はぁはぁ……はぁ………。」
走ってきて息の上がった呼吸を整える。
胸が苦しい……
「はぁはぁ………っふ……っく…。」
何度目かの呼吸の後、目の周りが熱くなって。
視界がぼやけて。
息を詰まらせる代わりに、ソレは零れた。
「なんで……。」
頬を流れる涙に覚えなどなく。
何故涙が流れるのか分からない。
イザベラの能力が本物だということは、喜ばしい事じゃない……
イザベラがその能力でシルバの役に立てば、私はもういらない。
嫌々ながらに来た、この王城。
代わりが出てきた事は、喜ばしい事じゃない……
以前の私なら、そう思って、解放を望んだだろう。
けれど今は………