白銀の女神 紅の王
「ニーナ……?」
呟いた声には力がなく、ニーナに失礼だとは分かっていながらも、気分は急降下した。
良く考えてみれば分かった事だ。
シルバなら、後宮に入る時にノックなどしない。
それでもシルバだと思って駆け寄ったのは、それ程帰りを待ちわびていたと言う事。
だからこそ…待ちわびたその人でなかったことに、尚更落ち込んだ。
「どうしたの……?こんな時間に……。」
時刻はもう、使用人たちが眠りにつこうかというところ。
何か嫌な予感を感じつつも、そう問えば、案の定「あの……。」と言ったきり口をつぐむニーナ。
「も、もしかして、ベッドメイク?それなら、だ「ち、違います。」
明るく振舞おうとして発した言葉も、やや緊張したニーナの否定の言葉によって遮られた。
「シルバ様からの…ご伝言です……。」
視線を外しながら、小さな声でそう言うニーナ。
「シルバからの……?」
声が掠れる。
ヤダ…ッ……聞きたくない……
反射的にそう思った。
昔から、嫌な予感だけは当るから。