白銀の女神 紅の王
「エレナ様…?物音がしましたが、如何なされましたか?」
ビクッ――――
突然、扉の向こう側から声を掛けられ、思わず手で口を抑える。
そうだった…
今日は、シルバが来られない代わりに、護衛が外に控えているんだった…
「な、なんでもないわ。大丈夫。」
口元を押さえていた手を外し、震える声で答えれば…
「分かりました。何かあればすぐにお呼び下さい。」
良かった…気付かれなかった。
ほっとしながらも、立ち上がり、扉から離れる。
護衛はシルバの命でつけられている。
僅かな変化も報告の対象に入る彼らに、気付かれるわけにはいかない。
後宮に一人になった途端、泣いたなんて、シルバには知られたくないから……
もし知られれば、疎ましく思って、王城から追い出されるかもしれない。
シルバに、私の気持ちを悟られないようにしなきゃ……
グッと涙をふき、決意を固くする。
まだ…捨てられたわけじゃない。