白銀の女神 紅の王
私には家柄も、シルバに相応しい容姿も持っていないけど、この能力がある。
この能力さえあれば、まだ利用価値があると思ってくれるはず。
それに、私はもう部外者ではない。
王城の内情を知ってしまい、皆の前で顔も出してしまった。
私を人質に取ったところで、シルバは動かないだろうけど、少しのリスクも避けたいはず。
ましてや、イースト地区の再建で忙しいこの時期、こんなことで手を取られたくないだろう。
こんな娘一人、追い出そうと思えばいつでも追い出せるのだから、頭の良いシルバは今の時期に私を王城から追放しないわ……
月明かりだけが照らす後宮のソファーに座って、胸の前で固く手を握る。
大丈夫……大丈夫よ。
まるで言い聞かせるかのような言葉。
自分で理由をあれこれとつけても、結局は不安なのだ。
だから、何度も自分に暗示をかけながら、心を落ち着かせる。
シルバの傍に居られるなら……妾でもいいじゃない……
シルバの気持ちがこちらに向かなくても、ただ傍にいられるだけで……
その夜、泣き腫らして疲れた様に眠った。
シルバのいない、後宮のソファーで。