白銀の女神 紅の王
男に襲われたはずのソファーで寝ようとした事もだ。
怖くて震えているくせに。
頻りに窓の方を気にして、目を閉じても眠れないくせに。
エレナは決して、口に出さない。
それが、気に入らなかった。
何故こんなにもエレナの事で苛立つのか。
考えれば考える程、目の前の仕事に集中できない。
先程、机に放りだした分厚い書類を見つめる。
その書類は、イースト地区再建についての報告書だった。
日頃から治安の悪いイースト地区。
それがもとで、今まで何度も再建が中断してきたが、遂に大きな暴動が起きた。
そして、たたみかけるように起きた、国境付近でのギルティス王国との衝突。
この忙しい時期に、やってくれる……
暫くギルティス王国に動きはなかったのだがな。
デュークからの報告書によれば、それ程大規模な衝突ではなかったらしいが…