白銀の女神 紅の王
「け、けれど…。」
尚も口を開こうとする女に……
ダンッ―――――
女のすぐ横の壁が鈍い音を立てて震える。
「黙れ……と言ったのが分からなかったか?」
顔のすぐ横をかすめた拳に、小さな悲鳴を上げ、今度こそ黙った女。
ずうずうしくも妻の座を望むとはいい度胸だ。
しかし、こんな女はいくらでもいる。
自分の家柄、容姿を武器にして近付き、正室の座を狙う者達。
そういう者達は全て相手にしない。
今回も、適当にあしらえば良いのだ。
しかし……
「アレをどうしようが、誰の指図を受けるつもりはない。」
憤然と沸き起こる怒りを握った拳に込め、女を見据える。
そう…エレナをどうしようが俺の勝手。
そして、それをどうこう言う権利は家臣にも女にもない。
ただ、それだけだ……