白銀の女神 紅の王
「今回は見逃してやるが、次はないと思え。」
壁に打ち付けた手を離せば、ほっと息をつく女。
それを一瞥して、再び歩き出す。
何も言えずに佇んだ女を残して―――
いけすかない女だ……
だが、暫くは王城にとどめて、様子見をする必要がある。
先程の女の態度を思い出し、苛々としながら歩いていると、いつの間にか後宮の近くまで来ていた。
扉の前には二人の護衛。
近付いていくと、こちらに気付き……
「「シ、シルバ様!」」
突然現れた主に、驚いた様子の護衛達。
「異常はないか?」
「は、はい。外の護衛共々、今のところ異常はありません。」
一方の男が答える。
そして、訝しげな表情をしたもう一方の男が口を開く。
「今日は、お帰りにならない予定では?」
「あぁ、様子を見に来ただけだ。」
様子を見に来た……か。
冷酷無比の王が笑わせる。