白銀の女神 紅の王
「エレナは眠っているのか?」
もう時刻も時刻だ。
眠っていなければおかしいのだが、いつもの習慣を思うと、眠れていない可能性もある。
「恐らく、眠っていると思われます。何かあればお呼び下さるよう申し上げましたが、何もありませんでしたので。」
「そうか……。」
そう言って、後宮の扉に手を掛ける。
キィー………
眠っていると言う事を思い出し、ゆっくりと扉を押して、後宮に入った。
いつもと様子の違う後宮。
窓は占められ、分厚いカーテンで覆われて、いつもより薄暗い。
普段は窓を開けたまま寝るが、恐らく、怖かったのだろう。
天窓から照らされる月明かりを借りて、ベッドの上にいるだろうエレナの姿を探すが……
「…………。」
ベッドの上は、人影はない。
……とすると、あそこか。
溜息をつきながら、思い当たった場所に視線を移す。
やはりな……
目線の先には、ソファーの上で眠るエレナがいた。