白銀の女神 紅の王
一体何の噂だと言うの?
“噂”という言葉が出たことに怯える。
この嫌な予感が杞憂に終わってくれればいいけれど……
しかし、その噂が絶対に良いものではないことは男の瞳が物語っていた。
まるで獲物を見つけた時のように、ギラリと剣呑な光を放つその紅い瞳。
その瞳に魅入られていると……
「きゃ…ッ!」
突然の浮遊感を感じる。
気付いた時には男に軽々と抱き上げられていた。
「エレナッ…!」
ジェスが小さく叫ぶ。
「お、下ろしてくださいッ!」
精一杯の声を振り絞って抵抗するが、男は気にも止める様子がなくスタスタと出口へと足を進める。
ど、どうしよう……
この人の言う噂が気になる……