白銀の女神 紅の王
「エレナ様、朝食をお持ちいたしました。」
「ッ………!」
突如部屋に入って来たニーナに背を向け、零れ落ちそうになっていた涙を拭う。
危なかった……
もう少しで、ニーナに泣いているところを見られるところだった。
「エレナ様?」
突然顔を逸らした私に、訝しげな声を上げるニーナ。
「あ、ありがとうニーナ。」
無理やり笑顔を張り付けて、そう答えれば……
「何だか、さっきよりも目の充血が酷くなっていませんか?」
「そ、そんな事ないわよ。それよりも、今日の朝食は何かしら?」
ニーナの鋭い観察力に、内心焦りながらも否定し、話を逸らす。
まだ腑に落ちない様子のニーナだが、運んできた朝食のメニューの説明を始めた。
しかし、ニーナの声は全く耳に届いていなかった。
能力が戻れるまで隠し通せる?
今日のアレは本当に運が良かっただけ。
次は、今日の様に上手くはいかないだろう。
けれど……
少しでも長く王城にいれますように……
そう願わずにはいられなかった。