白銀の女神 紅の王
カチャ…カチャ――――
妙な空気が流れる後宮に、紅茶の入ったカップの音が響く。
現妾と、正室候補が同じ部屋でお茶を飲んでいるなど、何とも滑稽な状況だろうか……
扉の向こう側で見張りをしている護衛の人も、さぞ驚いた事だろう。
「あの……私に話って?」
恐る恐る口を開けば………
カチャン――――
イザベラが置いたカップの音にビクッと肩を揺らす。
「これから私が言う事は全て本当だから。」
何を言い出すのかと思えば、イザベラは、飲みかけの紅茶をテーブルに置き、こちらを見据える。
そして、イザベラが真剣な顔つきで口を開く―――
「ジェスが危機にさらされているの。」
「ッ………!」
イザベラの言葉に、大きな衝撃を受ける。
思わず、口に持っていこうとしていたカップを持つ手が止まる。
「貴方は何者?…何故、ジェスを知っているの?」
当然の疑問だった。
いきなり現れたイザベラの口からジェスの名が出てくるなんて思わなかったから。