白銀の女神 紅の王



「陛下もイースト地区へ行ったのなら、陛下直々にジェスを討ちに行ったのかもしれないわね。」

「そんな…まさか……。」


暴動の収集と国境付近の視察というのは嘘なの?


信じたくなくて、否定したかったけれど……


「十分あり得るわ。陛下は冷酷で冷徹で、逆らう者には容赦がないお人。仮にも王の所有物である貴方を奪おうとする者は死刑でもおかしくないわ。」

イザベラは、そう断言する。



「死刑……。シルバがそんなことするはずないわ……。」

うわ言のように小さく呟く。



以前なら、こんな事思わなかった。

出逢った頃、迷いなくウォルターに剣を向け、ジェスにも剣を振りかざそうとして。

その時のシルバは、まさしくイザベラが言った通りの人だった。

けれど、王城で暮らし始めて、シルバの意外な一面を垣間見て。

冷酷で冷徹だと言うから、皆しぶしぶシルバに仕えているのかと思ったけれど、側近からは敬われていた。


そして、私も………

最初は怖かったけれど、不器用で、けれど、ふとした優しさを見せるシルバに魅かれていた。

だから、私にとっては、シルバが心から冷徹で冷酷な人には思えないの……




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