白銀の女神 紅の王
「シルバはジェスを殺したりしないわ。」
今度は、しっかりとイザベラに告げる。
「何も知らない癖に!」
「ッ……!?」
瞳を鋭くさせ、今度はイザベラが声を荒げた。
突然、激昂したイザベラに、ただ唖然とする。
その表情は、何かを恨んでいるような、憎しみを込めた色を滲ませている様な気がして……
唖然とする私に、イザベラはハッと我に返ったように、パッと表情を和らげる。
「あっいいえ……。私が言いたかったのは、貴方は陛下がどんな人か知らないと言う事。」
罰の悪そうな顔で、そう話すイザベラ。
「少なくとも、私が知っている陛下は、人を殺すことに躊躇いはないお人。」
一瞬だけ見せたあの表情は気のせい……?
「私は数十年陛下を見てきた。貴方よりも、陛下のことは知っているつもりよ?」
「ッ………!」
私はシルバの事を知らない……?
確かに、シルバに連れ去られて数週間、二人ですごす事なんてあまりなかった。
シルバが後宮ですごす様になったのも最近になってからだし。
けれど、それでも……
私が見てきたシルバは、まぎれもなくシルバでしょう?