白銀の女神 紅の王



けれど、これで決心はついた。

まだ、痛む胸の疼きは治まらないけれど…

貴方と離れ離れになる辛さを知りたくはないけれど…

シルバには、イザベラさんがいる。


―――けれど、ジェスには私しかいないから。


私が助けに行かなきゃ……




「どうやってこの王城から出られるんですか?」

覚悟を決めた瞳で、イザベラを見据える。

対するイザベラは、笑みを浮かべて口を開く。



「そんなの簡単よ。今は陛下と側近の方はイースト地区へ行っているし、貴方の侍女も城下へ行っているんでしょう?今がチャンスだわ。」

確かに、シルバやニーナが帰ってくれば、私は動きづらくなる。

これほど早く王城を去らなければならない事に動揺しつつも、この機を逃すわけにはいかない。



「……すぐに、用意します。」

そう言って、王城を抜け出す準備を始めた。



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