白銀の女神 紅の王
怒りを露わにすれば、震えながら「い、いいえ…」と、否定する護衛。
「イザベラ様がついておいででしたので。」
「ッ……イザベラだと?」
護衛から出た名に、訝しげな声を上げる。
「そのイザベラとか言う女…怪しいな。」
デュークが、後宮の扉に背を預けたまま呟く。
言われなくとも分かっている……
「イザベラは今どこにいる。」
「自室へいらっしゃいます。エレナ様が消えた後、イザベラ様が王城を出て行こうとしたので、自室へ戻ってもらい、見張りをつけさせています。」
みすみす逃がしていたのなら、この護衛の未来はなかったが……
護衛の言葉を聞き、すぐにあの女に与えた部屋へ向かった。
バンッ――――
部屋を護衛していた者に声もかけず、無言で扉を開ける。
すると――――
「あら、陛下、遊びに来て下さったの?」
イザベラが陽気な声で座っていたソファーから立ち上がり、こちらへ寄って来た。
この女………
「エレナをどこにやった。」
白々しく笑いかけるイザベラに、低く唸るような声を上げる。