白銀の女神 紅の王



連れ戻す……?

何故……?


あの女の能力が使えない事が分かったからか?

エレナの能力が他に渡ったら面倒なことになるからか?



―――――違う……


俺は………






「待ってください、シルバ!」

「煩いッ!」

ウィルの呼び止めにも応えず、声を荒げる。



ガシッ―――――

突如、腕を掴まれたかと思えば、進路方向へ立ちふさがる様にデュークが前へ出る。


「離せッ!」

掴まれた腕を力任せに振りきれば…



「落ちつけ、シルバッ!」

今日、初めてデュークが声を荒げた。

そして、ゆっくりと口を開く。



「冷静になるんだ。もう外も完全に日が落ちた。こんな中、当てもなく探したってエレナは見つからないぞ。」

いつもは意地の悪い厭味しか言わない癖に、この様な時にだけ“大人”を見せる。



「当てなど、あの女が口を割らぬ限りないではないか!」

落ち着いているデュークがやけに苛立たしい。

しかし、デュークは依然として余裕の笑みを浮かべ……



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