白銀の女神 紅の王



「お前らの言う“当て”とは何なんだ?」

まだ治まりのつかない衝動を抑えつけながら、落ち着いた声で問う。

すると、長椅子に座って優雅に足を組んだデュークが「まずは俺からだな…」と言って口を開く―――



「今回、イースト地区での暴動があっただろう?」

いきなり、何を言い出すかと思えば、エレナの話ではなく、暴動の話だった。

ピクリと動いた眉に、デュークから「最後まで聞けよ…」と、視線だけで釘を刺される。



「この暴動が起きた時、俺が最初に現場に駆け付けた。何故か分かるか?」

「お前が一番近くにいたからだろ。」

イースト地区と、デュークの任地は近い。

なので、イースト地区で暴動が起きれば、まず始めに現地につくのはデュークの部隊だ。




「まぁ、そうなんだが。俺がその現場付近にいたのは、俺が追っていたある人物がそこにいたからだ。」

「ッ………まさか…。」

デュークに調査させていた件など一つしかない。

今やっと、デュークの言わんとする事が頭に入った。



「あぁ、そうだ。以前、俺がお前に命じられて泳がせていた者……反逆者どもだ。」

「クソッ……イースト地区復興の邪魔をしたのは奴らだったか。」

幾度となく、小さな暴動が続いたイースト地区。

その引き金となっていたのは、反逆者どもだった。



泳がせて正解だったな…


「……しかし、それとエレナが消えた事とどうかかわりがあるんだ。」

王城から遠く離れたイースト地区の暴動。

それは、エレナが消えた事とまるで接点のない話だった。



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