白銀の女神 紅の王



「エレナを攫うための陽動だったということか。」

デュークが呟く。



「あぁ、そうだろう。」

俺たちがイースト地区へ向かったのを見計らって消えたエレナ。

陽動に、まんまと引っ掛かったとしか言いようがない。




「だとしてもだ。何故、あの女がエレナを逃がしたんだ?」

「それは、恐らく、イザベラさんが反逆者の一人だからだと思います。」

デュークの疑問に、すかさずウィルが答える。

今度は、何の驚きもなかった。

しかし、疑問は残る。



「大体は予想していたが……、イザベラが反乱分子だと言う事が何故分かった。」

有能な側近は、恐らくそこまで調べているだろう。

すると、案の定迷いなく口を開くウィル。




「イザベラさんのご両親は、前王アイザックスの家臣でした。その頃は、侯爵家として権力をふるわれていましたが、今は伯爵家に降格。調べてみた所、僕が調べていた幹部達も皆降格処分を受けた家々ばかりでした。」


「今回の件は、それを恨んでの事と言うことか。」



フンッ……権力を振りかざすしか脳のない奴らが笑わせる。

その爵位も、平民を酷使させ、税をせしめ、散々アイザックスに媚を売った結果だろう。

本来なら、爵位剥奪に相当するにもかかわらず、降格処分で済ませてやっただけでも感謝をしてもらいたいなのだが…

恨みを買った結果が、コレか。



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