白銀の女神 紅の王
しかし、そんな私の混乱などは置いてけぼりにされ、ジェスは目を細めて笑う。
その笑みに、ゾクッ…と恐怖に似た感覚が体に走る。
そして、ジェスは信じられない事を口走った―――
「あぁ、あれは嘘だよ。君をおびき寄せるためのね。」
「う…そ……?おびき…よせる……?」
うわ言のように、ジェスの言った事を呟く。
ジェスの言った事が、一回で理解できなかった。
「イザベラが上手くやってくれたようで安心したよ。」
目の前には、本来ならば相応しくないニヤリとした笑みを浮かべるジェス。
こんなジェス…知らない……
「ジェス……何を言ってるの?」
「気易く俺の名を呼ぶなッ!」
ビクッ―――――
ジェスの口から出たとは思えないほど、荒々しい声。
普段から朗らかな声で話すのに慣れていたせいか、驚きに肩が跳ねた。
それでも、たった一人の友人を信じたくて口を開く。
「私達…友達でしょう……?」
優しい笑顔を向けてくれていたジェスに想いを馳せながら問うが…
帰って来た視線は、侮辱を込めた視線だった。