白銀の女神 紅の王
「私を、王城から助け出す…って言ってくれたのは嘘なの…?」
「当たり前だ。俺はただ、お前を引きつけておく為の芝居をしただけだ。」
冷たく言い放つジェスに、ズキッと胸が痛む。
城下へ行った時―――
あの宝石店で、助け出すと言ってくれたのは、私の事を心配して言ってくれたんじゃないの…?
私が友達だったからじゃないの…?
ドクンドクンと、心臓が嫌な音を立てる……
「私に優しくしてくれたのも嘘……?」
ウォルター様に怒られた時は、いつも助けてくれて。
外に出られない私の為に、城下の話をしてくれたり。
まるで、家族の様な存在だと思っていたのは、私だけだったの?
目の前のジェスが、もう私の知っているジェスではない事は明らかだったけど。
次の瞬間には、あの人懐っこい笑みで、冗談だよ…と言ってくれそうな気がして……
けれど、私の知らないジェスは、最後まで私の知らないジェスだった。
「お前の能力が使い物にならないのでは、フォレスト様の計画に支障が出るからな。」
“物”
その言葉が、どんな侮辱の言葉よりも深く突き刺さった。
「しかし…フォレスト様の命とは言え、あんな薄汚い所で、ウォルターなんかの下につかなくてはならないなど我慢ならなかったよ。」
一人、上機嫌で話し続けるジェス。