白銀の女神 紅の王
「それは出来ません、フォレスト伯爵。」
涙で濡れた瞳で、フォレスト伯爵を見上げる。
「この期に及んで、反抗するのは賢くありませんね。」
反抗するわけじゃない……
だって、この人数相手に、私一人で逃げ出せる力なんてないから。
ましてや、ここが何処かも分からない。
万が一逃げだせたとしても、王城へは帰れないだろう。
しかし、今はそう言う事を言っているんじゃない。
「私は、能力を失いました。」
目を伏せながら、告白する。
「私に協力するのが嫌だからと言って、そんな嘘をついてはいけませんな。」
そう言って笑うフォレスト伯爵は、私の言った事をまるで信じていない様子。
「本当です……。試してみましょうか?」
もしかしたら、能力が戻っているかもしれない…と、自分でも淡い期待を抱きながら、フォレスト伯爵を見つめ、集中する。
しかし――――
「真っ暗なイメージばかり流れてきて、何も見えません。」
やっぱり、そんなに都合良く戻って来るわけないわよね…
淡い期待だったにも関わらず、思いのほか落ち込んでいると、フォレスト伯爵が思いもよらぬ事を口にする。
「それは、当り前です。私の心は読む事は出来ませんよ?」
心を読む事が出来ない……?