白銀の女神 紅の王



焦る気持ちとは裏腹に、一向に見えない男の心。

真っ暗なイメージは、私の不安を一気に増長させた。



能力が戻って、フォレスト伯爵に利用されるのは嫌だけれど…

能力が戻らないまま戻っても、あそこに私の居場所はないのだから……



「お願い……私は能力がないとダメなの……。」

もはや、独り言に近い呟き。



「っ……本当に見えないのか?」

縛られたまま丸くなって、涙を流し続ける私に、ようやく事の事態に気付いたフォレスト伯爵が、焦った声色でそう言う。

けれど、私はフォレスト伯爵の問いに応える事なく、地面に横たわったままピクリとも動かず、涙を流した。



その様子に、周囲はざわめく。


そして―――――


「クソッ……ふざけるな!」

それまで落ち着いた雰囲気を崩さなかったフォレスト伯爵が、初めて激昂する。

カツカツと足早にこちらに近づいたかと思えば、思いっきり髪を掴まれ、頭を持ち上げられる。


「つッ………。」

グィッと上へ持ちあげられた痛みに、眉を寄せて、小さな悲鳴を上げる。


「父上!」

フォレスト伯爵の向こう側から、焦った様なロメオの声が聞こえた。

しかし、激昂したフォレスト伯爵は止まる事はなかった。




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