白銀の女神 紅の王
私の頭を自分の目線の高さまで持ってきたところで、怒りに染まった瞳と視線がぶつかった。
そして、フォレスト伯爵は、ものすごい剣幕で口を開く。
「こちらは、この日の為だけに、お前を10年間養ってきたんだぞ。それが、能力を失くしただと?どこまで私をコケにすれば気が済むんだ!」
バンッ――――
思いっきり、投げ飛ばされた。
「エレナ様ッ……。」
すかさず、ロメオが駆け寄ってくる。
「どうするんですか?これから。」
ジェスは、その場から一歩も動かず、こちらを一瞥する。
投げ飛ばされて、背中を打った痛みより、心の方が痛い…
「コイツはもう使い物になりませんよ?」
その言葉にピクリと反応する。
この人たちは、私の能力が回復する可能性があることを知らない。
もしかして、このまま私の事は諦めてくれる?
能力が使えないのなら、フォレスト伯爵にとって、私を傍に置く必要はないはずだし…
解放してもらえれば、王城の場所が分からなくても、何とかなる。