白銀の女神 紅の王



「まぁ……お前が人質としての価値もなければ、最悪、私の盾にでもなってもらう。」

その言葉に、キッ…とフォレスト伯爵を睨み上げる。



「明け方、ギルティス王国へ出発する。お前もついて来てもらうぞ?」

拒否は許さないという視線。



「この女を離れの小屋へ入れておけ。逃亡計画を聞かれては困るからな。」

フォレスト伯爵は、私をここまで連れてきた男に命じる。

私を支えていたロメオが退き、男が近づいてくる。



いや……ッ……

私は行きたくない……




シャッ――――

男が、足の縄だけ切り「立て」と短く促す。


「……………。」


何か……何かここから脱出する方法はないの?

地面に横たわったまま、必死に周りを見渡す。

いつまでたっても立とうとしない私に、頭上からチッ…と悪態をつく音。



「ほら、立て!」

「ッ………!」

両手を縛られた縄を持ち上げられ、無理やり立たされる。



刹那――――

視界の端に、あるモノが映った。



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