白銀の女神 紅の王



男に腕を引かれながら、ソレを見つめる。



そして、覚悟を決めて―――


「きゃっ……。」

ドンッ―――――


よろけた振りをして、男の方へ倒れ込む。



「ッ………!」

不意に倒れ込んだからか、男は私の体を支え切れずに後ろへ倒れた。


男の胸の中へ倒れ込み、皆に悟られぬよう、縛られたままの手でサッと目的のものを手に取る。

ソレをギュッと握ったところで、男が置き上がる。



「チッ……しっかり歩け!」

苛立たし気にそう言って、さっきよりも強い力で手を引っ張られた。

今度こそ素直に、男とフォレスト伯爵の部下2人に連れられて歩く。



不意にジェスの方を向けば―――

ジェスは、一瞬スカイブルーの瞳を軽く見開いた後、眉を寄せ、フイッと視線を逸らした。


ズキッ――――

最後の願いを込めた視線も、受け止めてはくれなかった。


ジェスに頼ってはダメ。

私が何とかしなきゃ……

そう思いながら、手の中のものを握りしめ、離れの小屋に移動した。




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