白銀の女神 紅の王
「ジェスを傷つけないで。行きますから、貴方と一緒に行きますから!」
私は諦めたように項垂れ男に向かって必死に言う。
私のためにジェスが傷つくのなんて見たくない。
ジェスは私の唯一の友人だから。
いつもウォルターから守ってくれた優し友人。
だから…今度は私が守る。
「エレナ……」
ジェスは驚いたように目を見張っていた。
「ジェス、私は大丈夫だから」
安心させるように微笑みかける。
ジェスは納得していないようだが、目の前に突き付けられた剣の前では何も言えなかったようだ。
「話はついたようだな」
男はジェスに向けていた剣を収める。
そして、ウォルターの方を向き直り口を開く。
「金の件はこの者に伝えておけ」
そう言って黒いマントを羽織った者を指す。