白銀の女神 紅の王



ロメオの手が、私の拘束された手まで降りてきたところで、その手は止まる。

そして、眉を寄せながら口を開く。



「可哀想に…。こんなに手首が腫れて。今外して差し上げます。」

「ッ………!」

赤くはれていた手首を撫でたかと思えば、ロメオは腰に添えていた短剣で、両手を拘束していた太い縄を切った。



「良いんですか?こんな事をして……。」

両手両足を縛っていた縄はもうない。

仮にも、人質となっている者の拘束を解くなど、信じられなかった。

逃げられるとは考えないのだろうか……



「いくら私でも、貴方一人くらいなら何とかなる。」

ロメオは、短剣を鞘に収めながら、そう言う。

見た所、温室育ちな風貌をしているロメオでも、やはり男。

私が抗ったとしても、敵わないと分かっているのだろう…



「私に抗おうなどと、考えない事ですね。それよりも……。」




ガバッ――――――

「ッ………!」

フッ…と、あの粘着質な笑みを浮かべたかと思うと、いきなり抱きついてくるロメオ。

一見、細身で力のなさそうなロメオだったが、抱きしめてくる腕は、とてもきつかった。



「ずっと貴方をお慕いしておりました。」

熱っぽい声で囁かれる言葉。




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