白銀の女神 紅の王



試しに両手でロメオの胸を押してみるが、僅かに動くものの、押しのける事は出来なかった。



「賭博場で貴方を見かけた時からずっと……。」

耳にかかるロメオの息が、やけに生々しい。

それが嫌で、身じろぎすると、更に強い力で抱きしめられる。




「貴方だけを思って、貴方だけを見てきた。」

情熱的な言葉も、今は恐怖以外のなにものでもない。



しかし、ロメオは止まらない―――

「愛しています、エレナ様。」

そう耳元で囁き、首筋に唇を這わされる。



「ひゃっ……い、いやっ……!」

首筋に当たった唇の感触に、体中が戦慄く。



「私が愛して差し上げます。」

そう言いながらも、首筋に口づけを落とし続けるロメオ。


「いや……ッ!やめて……!」

体を抑えられたまま、ロメオの腕の中で暴れる。

けれど、やはり力で叶うはずもなく、ロメオの拘束から逃れようともがいていた手は、地面に縫いとめられた。

上から抑えられる体勢になり、もがく事も叶わなくなった。

背中から伝わる地面がやけに冷たい。




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