白銀の女神 紅の王
「こんなこと…やめてください……。」
声が震える―――
気丈に振る舞っても、体は正直だ。
これから自分の身に起こるだろう事を思うと、カタカタと小刻みに震える体を抑える事は出来ない。
水膜の張る瞳で、ロメオをキッと睨みながら、そう訴えるも―――
「何故です…エレナ様。何故私を拒むのですか?」
「つッ………。」
ロメオの拘束は強まり、縄で腫れていた手首が悲鳴を上げる。
しかし、興奮したロメオは、そのまま喋り続けた。
「私は、こんなにも貴方を愛しているというのに…。何故貴方は私を愛してくれないのです。」
眉を寄せて、狂おしいまでの愛をぶつけてくるロメオ。
愛情もここまでくると、恐怖に感じる。
「それとも、貴方には想う人がいると言うのですか?」
ロメオの言葉に、ハッとして、目を見開く。
思い起こされたのは、一人しかいない。
闇よりも深い漆黒の髪。
燃えるような紅い瞳。
シルバ―――――
今はここにいない人を想って、目を細める。
その表情を見たロメオは、ハッと息を飲んで、口を開く。
「ッ……!もしかして、あの男の事が……。」
眉をひそめ、一瞬にしてその表情に憎悪の色を込めるロメオ