白銀の女神 紅の王



「こんなこと…やめてください……。」


声が震える―――

気丈に振る舞っても、体は正直だ。

これから自分の身に起こるだろう事を思うと、カタカタと小刻みに震える体を抑える事は出来ない。



水膜の張る瞳で、ロメオをキッと睨みながら、そう訴えるも―――


「何故です…エレナ様。何故私を拒むのですか?」

「つッ………。」

ロメオの拘束は強まり、縄で腫れていた手首が悲鳴を上げる。

しかし、興奮したロメオは、そのまま喋り続けた。



「私は、こんなにも貴方を愛しているというのに…。何故貴方は私を愛してくれないのです。」

眉を寄せて、狂おしいまでの愛をぶつけてくるロメオ。

愛情もここまでくると、恐怖に感じる。



「それとも、貴方には想う人がいると言うのですか?」

ロメオの言葉に、ハッとして、目を見開く。

思い起こされたのは、一人しかいない。



闇よりも深い漆黒の髪。

燃えるような紅い瞳。



シルバ―――――

今はここにいない人を想って、目を細める。

その表情を見たロメオは、ハッと息を飲んで、口を開く。



「ッ……!もしかして、あの男の事が……。」

眉をひそめ、一瞬にしてその表情に憎悪の色を込めるロメオ



< 335 / 531 >

この作品をシェア

pagetop