白銀の女神 紅の王



「あの男の名など呼ばないで下さい。」

ロメオが、首筋に埋めていた顔を上げる。

そして、涙を拭うように這わされる、ロメオの手。




ヤメテ……―――――


私を抱きしめる腕。

耳元で囁かれる、湿った声。

体に這わされる手の動き。

ロメオの全てに、体が拒否した。




「私が、忘れさせて差し上げますよ。」

ゆっくりと頬を這っていた手が、後頭部に滑り、頭を固定される。

そして、ゆっくりと降りてくるロメオの顔。


瞬時に、何をされるか理解した。



「っ……いや、嫌ぁぁ……やめてっ!」

解放された片方の手で、ロメオの背中を叩く。

……が、体格の良すぎるロメオの体には、さほどダメージを与えられていない。

諦めず抵抗を繰り返す私に、ロメオは動きを止め口を開く。



「いずれ、“良く”なります。」

欲を湛えた笑みに、ゾッとする。

再び、動きだすロメオ。

段々と近づくロメオの顔に、涙が溢れてくる。




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