白銀の女神 紅の王
目をつぶって、何かに耐えるようにしている彼女を見て、拘束していた手が緩まる。
「エレナ………。」
「ッ………!」
ポツリと呟けば、弾かれたようにパッと瞳を開いたエレナ。
やっと開かれた瞳は、やはり銀色の瞳。
零れ落ちそうなほど目を見開き、こちらを見つめる瞳は、ただただ驚愕していた。
「…………。」
あれ程、欲して、探し求めた者。
次に会った時には、色々と文句を言ってやるつもりだった。
イザベラの口車に乗せられて、のこのこと敵陣営に自ら飛び込んだこと。
あれ程、王城から逃げ出す事は許さないと言ったにもかかわらず、突然消えたこと。
しかし、いざエレナを目の前にすると、そんな言葉は一つも浮かんでこなかった。
その代わりに――――
「エレナ。」
ただ、名を呼ぶ。
拘束していた手を、エレナの白い頬に滑らせれば、見開いていた目を細め、うるうると緩み始める銀色の瞳。
見ているこちらが切なくなるほどに眉を寄せ、銀色の瞳に涙を溜めていく。