白銀の女神 紅の王



溢れんばかりに涙を湛えた瞳を瞬かせ――


「シル…バ………っ。」

小さく呟いた言葉と共に、溜まっていく涙が、頬に溢れ伝う。


「ッ………。」

溢れる涙を目にした瞬間、エレナの腕を引く自分を止める事は出来なかった。



グイッ―――――

「ッ………!」

震える柔らかな体を、あらん限りの力で抱き込めば、抵抗なく腕の中におさまるエレナ。

最初は、身を固くしていたエレナだったが、すぐに抵抗は緩まり、みるみるうちに体から力が抜けた。



「ふっ……っく…シル…バっ……。」

ボロボロと涙を零しながら、俺の名を呼ぶエレナ。

必死にしがみつくエレナを包み込む。



エレナの涙を見るのは、これで二度目だ。

そう言えば、一度目もこんな風に震えていたな……

ちょうど今の様に、俺の衣服を掴んで離さず、小さく肩を震わせて涙を流していた。

もう二度と、あのような事はご免だと思ったにもかかわらず、またこのような事態を招いてしまったという後悔。


しかし――――

押し寄せる後悔を余所に、胸の内を占めたのは、間違いなく安堵の気持ちだった。




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