白銀の女神 紅の王



数分前まで、あんなにも苛々と気が立っていたというのに…

エレナが自分の腕の中にあることで、穏やかなほどに静まる胸の内。




「もう、大丈夫だ。」

気付けばそんな言葉を口にしていた。







エレナが落ち着いた数分後―――

落ち着きを取り戻したエレナから、王城から出た時に、あの男から攫われた事。

次に目を開けると、知らない小屋に両手両足を拘束されていた事。

その小屋は、反逆者の溜まり場で、その頭はフォレストだった事。

そして、フォレストのみならず、ジェスまでもが裏切りを働いた事を聞いた。



フォレストはともかく、ジェスまでが反逆者の一味だったとはな……

薄々はそうではないかとは思っていたが…

俺でさえ驚いたのだ。

ジェスを慕っていたエレナは、相当な衝撃だったはずだ。

ましてや、あれ程に気にかけていた存在のジェスに裏切られたなど、エレナにとってはショックだったはず。



しかし――――

「よくその状況で逃げだせたな。」

周りはフォレストの部下だらけの状況。

そんな中、両手足を拘束されたエレナが何故こうして逃げてこられたかが不思議だった。



「ッ……私は、すぐに別の小屋に移されたんです。それで……。」

一旦言葉を切るエレナ。

眉を寄せ、何かに耐える様にしてグッと言葉を詰まらせる。






< 350 / 531 >

この作品をシェア

pagetop