白銀の女神 紅の王
「……別の小屋に移された後、ロメオさんが小屋に入って来て、二人きりにされました。」
「ッ……フォレストの子息が?」
エレナがコクリと小さく頷く。
忘れるはずもない、宴の夜―――
フォレストの子息は、エレナに熱い視線を送っていた。
そのロメオと二人きりだと?
嫌な予感がした……
「それで?」
ギリッと唇を噛みしめながら、続くエレナの言葉を促す。
「それで……ロメオさんから押し倒されて……。」
やはりな……
再び、カタカタと肩を震わせながら口を開くエレナ。
「けど、手の縄を解いてくれていたから、わたし…必死に抵抗して……っ。私を攫った男の人から奪った睡眠薬をロメオさんにかけて、逃げ出してきました……。」
「そうだったのか。」
エレナにそんな行動力があったのは、少し驚いた。
しかし、その行動力が無ければ、今頃は国境を越えられていたかもしれない。
「フォレストは、お前を探しているはずだ。王城に戻るぞ。」
今は、デュークやウィルと合流すべきだろう。
そう思って、ひらりと馬に跨り、眼下のエレナに声をかけたのだが……
「…………。」
伏し目がちに罰の悪そうな顔をするエレナ。