白銀の女神 紅の王



「……別の小屋に移された後、ロメオさんが小屋に入って来て、二人きりにされました。」

「ッ……フォレストの子息が?」

エレナがコクリと小さく頷く。



忘れるはずもない、宴の夜―――

フォレストの子息は、エレナに熱い視線を送っていた。

そのロメオと二人きりだと?

嫌な予感がした……



「それで?」

ギリッと唇を噛みしめながら、続くエレナの言葉を促す。



「それで……ロメオさんから押し倒されて……。」

やはりな……

再び、カタカタと肩を震わせながら口を開くエレナ。



「けど、手の縄を解いてくれていたから、わたし…必死に抵抗して……っ。私を攫った男の人から奪った睡眠薬をロメオさんにかけて、逃げ出してきました……。」

「そうだったのか。」

エレナにそんな行動力があったのは、少し驚いた。

しかし、その行動力が無ければ、今頃は国境を越えられていたかもしれない。



「フォレストは、お前を探しているはずだ。王城に戻るぞ。」


今は、デュークやウィルと合流すべきだろう。

そう思って、ひらりと馬に跨り、眼下のエレナに声をかけたのだが……



「…………。」

伏し目がちに罰の悪そうな顔をするエレナ。



< 351 / 531 >

この作品をシェア

pagetop