白銀の女神 紅の王
オロオロと所在なさげに視線を揺らめかせる。
「どうした、早くしろ。」
「は…い……。」
馬上からエレナに向かって、手を差し出せば、ようやく手を取った。
ヒョイ――――
羽のように軽いエレナの体は、いとも簡単に浮き上がる。
そして、横抱きにしたエレナを自分の前に置き、右手を腰に回す。
「落ちたくなかったら、捕まっていろ。」
ギュッと服を掴んだのを確認してから、馬を走らせた。
追っ手はどれ程で追いつくだろうか…
エレナの話によると、夜通し歩き続けたようだが。
明りもない真夜中、しかも、女の足では、フォレストたちがいた小屋からそれ程離れていないだろう。
追いつかれるのも時間の問題だな。
トンッ―――――
ん………?
不意にこちらへ重みがかかる。
見下ろせば、エレナの頭が寄りかかっていた。