白銀の女神 紅の王
眠いのか…?
それは、夜通し歩けば睡眠も欲するだろう。
見るからに体力もなさそうだしな。
体から力が抜け、馬上から落ちそうになるエレナの体を、元の位置へ戻そうとした時だった。
ローブから零れ落ちた腕を取れば―――
ッ…………!
熱い………
エレナの体温が異常に熱かった。
クイッ―――――
馬を止め、エレナの顔を上に向かせれば、明らかに熱を持っている頬。
元々肌が白い為、赤くなった頬は熱があると言う事を訴えていた。
「エレナ!」
焦る気持ちが、声の強さになって表れる。
呼びかけに応じて、うっすらと目を開くエレナ。
トロンとした瞳は、明らかに平常ではない。
「熱があるのか?」
その問いかけに、エレナは首を振って否定する。
こんなにも辛そうな顔をして、熱がないわけないだろ。
「嘘をつくな。辛いなら、辛いと言え。」
熱がある事を確かめるため、首元へ手を伸ばそうとした時。
「ッ………!」
エレナはギュッとローブを抱え込み、俺の手から逃げた。