白銀の女神 紅の王



「ごめ…っ…なさ……ッ。」


グイッ―――――

怪我をしていない方の右腕を引かれ、シルバの胸の中へ飛び込む。

続く謝罪の言葉は、ふわりと包まれた腕の中で消えた。



「シルバ……?」

驚きの声を上げ、上を向こうとすれば―――



「涙が治まるまで、こうしていろ。」

後ろ髪に片方の手を差し入れられ、頭をシルバの胸へ押しつけられる。

そして、もう一方の手で、背中を撫でられる。


ドキドキと早鐘を打つ心臓が五月蠅い。

今日のシルバは、本当にどうしたというのだろうか…

そう思いながらも、その腕を払う事は出来なかった。

トクンットクンッ…と一定のリズムを刻むシルバの心音。

それを聞いていれば、いつしか涙も治まっていた。



「落ちついたか?」

シルバの問いに、コクンと一つ頷く。

後宮から連れ去られそうになった時も、こんな風に背中を撫でられて…

いつだって、貴方は私を助けてくれていた。




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