白銀の女神 紅の王
それなのに、私はシルバに何もしてあげられない。
それが、たまらなく苦しくて、もどかしい。
漠然とした不安が怖くて、いつまでもこの温かい腕の中にいたいと思ったけれど…
シルバは否応なく距離を取る。
「続けるぞ?」
その問いに、コクンと頷く。
私が承諾したのを確認して、シルバは再び傷の手当てに戻った。
再び濡れた布が傷口にあてられる――
「ッ………。」
先程同様、濡れた布は傷に沁みたが、今度は声を上げないよう我慢した。
その間も、シルバは手際良く傷の手当てを済ませる。
キュッ――――
ありあわせの布で包帯の様に傷口を塞げば、手当ては終了。
もう…終わり……?
シルバの手際の良さに驚いたのと。
あっという間に終わってしまったひと時を寂しく思う気持ちが湧いた。
けれど、ちゃんとお礼を言わなきゃ……
「シルバ……。」
短剣を仕舞っていたシルバに声をかければ、こちらへ向く。
ドキッ――――
自分から呼びかけたくせに、紅の瞳と目が合ったことに、心臓が跳ねる。