白銀の女神 紅の王
見ようによっては鋭く光る紅の瞳に、先程の意思も揺らぎそうになるが…
シルバが手当てをしてくれた左腕を大切に胸に抱え、意を決して口を開く。
「あの……ありがとうございました。」
感謝の言葉を口にすれば、目の前の紅の瞳が見開かれる。
しかし、それも一瞬の事で、すぐにいつもの鋭さを持った瞳に戻った。
「気にするな。それよりも……」
フワッ―――――
自分が羽織っていたマントを脱ぎ、私の体に巻きつけるシルバ。
そして、次の瞬間には、体がふわりと浮く。
「まだ睡眠薬が体に残っているのだろう?王城に戻るまで、眠っていろ。」
そう言って、シルバは馬をつないでいる場所まで歩き出す。
確かに、睡眠薬のせいで睡魔が襲っていた。
夜通し歩き、体はもうくたくたで。
鉛の様に重い体は、睡眠を欲していた。
けれど……
眠れるわけない………
シルバがこんなにも近くにいて。
もう、こんな時間は二度と訪れないかもしれないから…