白銀の女神 紅の王



王城に帰れば、どんなに隠したって、いつかは能力を失った事を知られてしまうだろう。

そうなれば、私は王城から追い出される。


だから……

シルバが優しく接してくれる、今この瞬間の一時を刻んでおきたい。



あの馬までの距離がもっとあればいいのに…

この時間が永遠に続けばいいのに…




そんな、どうしようもない考えに囚われていると…





ピタッ―――――

馬まであと数歩と言うところで、シルバの足が止まる。



…………?

シルバを見上げれば、先程とは打って変って険しい表情をしていた。

眼光鋭く紅の瞳が見つめるのは、森の中。


どうしたんだろうか……

不思議に思っていると、シルバがチッ…と悪態をつき―――



「隠れていないで、出てこい!」

森の中に向かって、そう叫んだシルバ。


「え………?」

思わず声に出して呟く。

誰に向かって………




シルバの視線の先を追って、森の中を見つめれば―――



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