白銀の女神 紅の王
「ははは、少し遠出をするだけですよ。すぐに戻ってきます。」
「ギルティスの兵士を連れてか?」
上機嫌に話していたフォレスト伯爵の笑い声がピタリと止まる。
暫くの沈黙の後、ククッ…という含み笑いが聞こえ……
「そこまでお気づきでしたか……さすがはシルバ様です。」
自分の企みが明るみになったと言うのに、愉快に笑うフォレスト伯爵。
それは、きっとこの圧倒的に優位な状況が後押ししているのだろう。
しかし、それはシルバも同じ事で―――
「自分の立場が危うくなると、すぐに逃げ出すのは相変わらずだな。その逃げ足の速さだけは称賛に値する。」
相手を見下すかのような態度と物言い。
「ッ………。」
フォレスト伯爵の片眉がピクリと動いた。
シルバは、それを知ってか知らずか、続けざまにフォレスト伯爵に向かって煽る様な事を言う。
「前王アイザックスの討伐の時も、側近のお前は尻尾を巻いて逃げだしていたな。」
私の知らない、過去の話。
シルバがアイザックス王からこの国を奪った時、私は監禁されていたから…