白銀の女神 紅の王
「今度は部下のイザベラやブレイムの配下を置いて国外逃亡か?」
「フッ…イザベラなど捨て駒ですよ。ブレイムも所詮、金を集める為だけの組織。なんの未練もない。」
シルバの挑発に、まだ冷静な姿勢で臨むフォレスト伯爵。
今まで己のしてきた所業を、一つ一つ認め始める。
ブレイム…という組織は初めて聞く。
けれど、確実に表向きの組織でない事は分かった。
「用が済んだら捨てる。お前の考えそうなことだ。」
吐き捨てるような物言いに、シルバが、フォレスト伯爵に対して、心からの嫌悪を感じている様子が伺える。
しかし、フォレスト伯爵は寸分足りとも気にしていない様子。
まるで、それがどうしたと言わんばかりの顔つきだ。
「金も集めた。必要な部下も連れている。…あとは、エレナ様だけなのですが。」
粘着質な視線が、こちらへ向く。
ビクッ―――――
「ロメオがエレナ様を是非ご正室に…と言ってましてね。」
いや………
もう、あんな思いはしたくない。
ロメオが触れた感覚が今でも残っているけれど…
抑えつける力。
耳元で囁かれる声。
ねっとりと体を這う舌。
思い起こしただけで、ゾクッ…と震えに襲われる。