白銀の女神 紅の王



離れたくなくても、離れなければならない。

何も出来ない無力さを感じながら、後ろへと下がるしかなかった。



シルバから数メートル離れた、泉の傍ギリギリのところで止まる。



そこで、改めて見れば…

フォレスト伯爵、ロメオ、ジェスがシルバの正面に立ち。

それをぐるりと囲むように、フォレスト伯爵の部下…

黒ずくめで定かではないけれど、あの小屋にいた者たちだろう。


それぞれが、ジリッ…と地面を踏みしめ、シルバとの間合いを取りながら剣を構える。

対するシルバは、その場から一歩も動く事なく、フォレスト伯爵だけを見据えていた。




無茶をしないで……



シルバの背を見つめながら、祈るように願う。



そして、その時は来た―――


「かかれッ!」

フォレストの一声で、一斉にシルバの方へ向かってくる部下たち。



剣を振り上げ、シルバに襲いかかる光景は、圧倒的にシルバの不利。

シルバが傷つくところを見たくなくて、目を逸らしたい衝動にかられたけれど…

不安が拭いきれず、シルバから目を離せなかった事も確かだった。



キーンッ――――

ガンッ――――

剣と剣が激しくぶつかり合う光景を必死に目で追う。





< 377 / 531 >

この作品をシェア

pagetop