白銀の女神 紅の王
離れたくなくても、離れなければならない。
何も出来ない無力さを感じながら、後ろへと下がるしかなかった。
シルバから数メートル離れた、泉の傍ギリギリのところで止まる。
そこで、改めて見れば…
フォレスト伯爵、ロメオ、ジェスがシルバの正面に立ち。
それをぐるりと囲むように、フォレスト伯爵の部下…
黒ずくめで定かではないけれど、あの小屋にいた者たちだろう。
それぞれが、ジリッ…と地面を踏みしめ、シルバとの間合いを取りながら剣を構える。
対するシルバは、その場から一歩も動く事なく、フォレスト伯爵だけを見据えていた。
無茶をしないで……
シルバの背を見つめながら、祈るように願う。
そして、その時は来た―――
「かかれッ!」
フォレストの一声で、一斉にシルバの方へ向かってくる部下たち。
剣を振り上げ、シルバに襲いかかる光景は、圧倒的にシルバの不利。
シルバが傷つくところを見たくなくて、目を逸らしたい衝動にかられたけれど…
不安が拭いきれず、シルバから目を離せなかった事も確かだった。
キーンッ――――
ガンッ――――
剣と剣が激しくぶつかり合う光景を必死に目で追う。