白銀の女神 紅の王
あの矢は、間違いなくシルバを狙っている。
そう思った瞬間、体は迷いなく動いた――
腰に下げていた、短剣を抜き…
ブンッ…――――
鞘におさめたまま思いっきりジェスの手に振りおろす。
「つッ………あっ…オイッ!」
ガツッ…と鈍い音と共に、拘束していたジェスの手が緩む。
反抗されるとは思わなかったのだろうか、ジェスの拘束は、それ程強くなかった。
その隙を狙い、スルリとジェスの手から抜け出し―――
シルバの元へと、一直線に走る。
「エレナッ!」
後ろから大きく叫ぶジェス。
少し、焦っているようにも聞こえるのは、私の気のせいだろうか…
しかし、足は止まることなくシルバの下へ向かう。
そして、そのシルバは、ジェスの声に反応し、バッ…と、こちらを振り返る。
焦った様な表情に、少し喜ぶ自分がいた。
私の事を気にしてくれていた…
私はそれだけでいい……