白銀の女神 紅の王



あの矢は、間違いなくシルバを狙っている。



そう思った瞬間、体は迷いなく動いた――



腰に下げていた、短剣を抜き…

ブンッ…――――

鞘におさめたまま思いっきりジェスの手に振りおろす。




「つッ………あっ…オイッ!」

ガツッ…と鈍い音と共に、拘束していたジェスの手が緩む。

反抗されるとは思わなかったのだろうか、ジェスの拘束は、それ程強くなかった。




その隙を狙い、スルリとジェスの手から抜け出し―――


シルバの元へと、一直線に走る。



「エレナッ!」

後ろから大きく叫ぶジェス。

少し、焦っているようにも聞こえるのは、私の気のせいだろうか…



しかし、足は止まることなくシルバの下へ向かう。

そして、そのシルバは、ジェスの声に反応し、バッ…と、こちらを振り返る。

焦った様な表情に、少し喜ぶ自分がいた。



私の事を気にしてくれていた…

私はそれだけでいい……




< 382 / 531 >

この作品をシェア

pagetop