白銀の女神 紅の王
「エレナの代わりなどいない!」
フォレストの、まるで既にエレナの存在がいないものと言わんばかりの言葉に、声を荒げる。
この世に、人の心を読めるのがエレナだけだからか?
大金をかけて買ったからか?
銀色の瞳に、銀色の髪が珍しかったからか?
その答えを出す事でさえ苛立ちを伴い、目の前でのうのうと生きおうせている存在に、体の奥底からふつふつと怒りがわく。
「へ、陛下がご所望なら、あの女と同じ容姿の女をご用意します!」
フォレストの言葉に、カッと頭に血が上る。
「お前はここで朽ち果てろ。」
激情に任せるままに剣を振り上げ…―――
瞳に侮辱の色をのせて見下ろせば、ガタガタと震えるフォレストとロメオ。
「死ね。」
冷たく、冷酷な言葉を浴びせるとともに剣を振り下ろそうとした時―――
「シルバッ!」
耳に入った声に、ピタリと空で剣が止まる。
声のする方へ、視線を向ければ、数人の部下を引き連れて馬を走らせてくるデュークが視界に入った。