白銀の女神 紅の王
森の斜面を一気に下り下りれば――
泉の畔では、デュークと救護班がエレナを囲んでいた。
「どけッ!」
周囲で見守っていた部下たちをかき分け、エレナが倒れている所へたどり着く。
視界に入ったエレナは、未だ矢が刺さったまま。
しかし、数分前に見た時よりも青ざめているように見えた。
「エレナの様子がおかしい。」
救護班の脇に控えるデュークがこちらを捉え、珍しく焦った様子で声を上げる。
「矢に毒が仕込まれていた。」
「ッ……毒だと!?」
それでか…と悪態交じりに呟くデューク。
「まずは、この矢を抜く事が先決だ。」
そう言って、エレナの体を抱き起した時―――
「ッ………!」
指先から伝わったエレナの体温に、言葉を失った。
先程よりも、明らかに低い体温。
眉を寄せ、口をキュッと結んでいる顔は、青白く…
元々白い肌が、更に色を失っていた。
その様子は、まるで……
ドクンッ…ドクンッ…と内側で鳴る心臓。